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定期報告制度について

2024.06.28

こんにちは。設計部一年目の吉村です。傳設計に入社して3ヵ月が過ぎようとしています。私事ではございますが、二級建築士の学科試験が迫ってきて焦っている最中でございます。
入社に伴って、様々な業務に携わることができたとともに、二級建築士試験もあるという事でより一層、建築に興味を持つことが出来ました。まだまだ建築については知らない事ばかりなので、少しずつ勉強していこうと思います。

傳設計に入社して、補助ではありますが定期報告に関する調査に同行する機会をいただいたので、今回は定期報告制度について話したいと思います。

皆さん定期報告制度についてはご存知でしょうか。
定期報告制度とは、建築物の安全性を維持し、火災や地震などの不測の事態や、重大な事故に繋がらないように建築物を有資格者(1・2級建築士、その他対象有資格者)が定期的に調査し、建物の所有者又は管理者が特定行政庁へ報告することを義務付けた建築基準法の制度の事です。報告を行うのは、あくまで所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)です。
調査に関しては①特定建築物定期調査報告、②防火設備定期検査報告、③建築設備定期検査報告、④昇降機等定期検査報告の4種類になります。報告の対象となる建築物は規模や用途によって異なりますが、検査期間は6ヶ月~3年の間隔をおいて、具体的な周期や時期は特定行政庁が決定しています。

今回は私が現地に同行して実施した、特定建築物定期調査報告と建築設備定期検査報告について話していきたいと思います。
特定建築物定期調査報告は、調査項目が大きく分けて5種類に分類されており、①敷地や地盤、②建築物の外部、③屋上及び屋根面、④建築物の内部、⑤避難施設等が含まれており、経年劣化による損傷の確認、調査項目上問題が無いか調査する事です。

①敷地および地盤の項目では、地盤、敷地、塀、擁壁などを目視や計測で調査します。

②建築物の外部の項目では、基礎、躯体・外壁、サッシなどのことを指し、目視のほか打診や赤外線診断などで詳しく調査します。

③屋上及び屋根面の項目では、屋上の調査では、屋上、屋根、冷却塔設備などを目視や打診で調べます。

④建築物の内部の項目では、建築物の内部については、防火区画、壁、床、天井、防火設備、採光、換気、建築材料の状況を目視や打診で調査します。

⑤避難施設等の項目では、避難施設では通路、出入口、バルコニー、階段、排煙設備、その他の設備を調査します。

建築設備定期検査報告も4項目に分けられており、①換気設備、②排煙設備、③非常用の照明装置、④給排水設備に分けられます。

①換気設備は「無窓居室」「火気使用室」「居室等」にある機械換気設備が対象です。これら各室の換気設備の作動状況および風量測定の他、関係する箇所についても不具合や劣化損傷がないかを検査します。

②排煙設備は火災時に煙を屋外に排出する設備で、排煙ロ・排煙機・排煙風道・手動開放装置などから構成される機械排煙設備が対象です。排煙窓のような自然排煙設備は、特定建築物の定期調査で作動状況を確認します。

③非常用の照明装置は、常用電源が失われた場合に点灯する照明器具が、非常時に避難に支障がないように最低限の照度が確保されているかを確認します。

④給排水設備は、受水槽・高置水槽・汚水槽・雑排水槽・合併槽がある場合に検査対象となり、これらがない増圧直結給水方式の場合は対象外となります。
また、目視で確認できる範囲の検査であるため、隠蔽部分や埋設部分については対象外となります。

定期報告の全容はまだまだありますが、大まかな内容は上記に記した通りになります。定期報告を行わないと、建物の所有者や管理者に罰則が与えられるだけでなく、外壁の落下により人が怪我を負ったり、最悪の場合人の命を奪う事にもなりかねません。そのような事態を未然に防ぐためにも定期報告は欠かせません。
報告年度には、原則、特定行政庁から所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)あてに通知が届くようになっています。
対象の建築物は特定行政庁によって異なりますので、自身が所有または管理する建築物が報告対象になっているか、管轄の特定行政庁のウェブサイトでご確認ください。

今回は補助として同行したので、いつか一人で定期調査を行えるようになりたいと思います。
私は定期報告や建築について、知識不足な点が多々ありますので、建築についてもっと勉強して精進していこうと思います。

最後に写真についてですが、今回同行した定期調査の現場が長崎だったので、その帰りに高速道路のサービスエリアで撮った写真です。へたですね。
皆さんも長崎に行く際には立ち寄ってみてください。写真のおかげもありますが、もっと綺麗に見えます。

設計部 吉村