代表挨拶

傳設計への想い

私は、鹿児島大学大学院卒業後、大分の高校で数学の講師を1年勤め、母校である鹿児島大学に戻り、助手を2年勤めました。 その後、福岡の設計事務所に就職し、30歳の時に独立。
構造力学が専門でしたので、独立した当初は構造の仕事を主に行っていました。二十数年前は電算機の性能が低かったので、夜、電算機にデータを入力し、朝、できた計算書をチェックし、昼はお客さまのところを周る、という毎日でした。
受注先打合せ、構造計算、図面作成、納品と何でも一人で対応しており、たいへんでしたが、夢にあふれた毎日でした。

一緒に頑張ってくれる仲間を増やしたいと、高校生、専門学校生、短大生と新卒で採用しましたが、社員の育成はとても難しいものでした。 中途で採用した社員がいたのですが、彼は経験が少なかったということもあり、私なりに鍛えました。そして、彼に教えることで私自身も学ぶことが多いと気付かされました。
利益だけを追求するのなら、ベテラン社員ばかりを集めた方が効率的なのでしょうが、傳設計が成長し続けるためには、若い社員が成長し、後輩を育てる環境が大切だと実感しました。当時感じたことは今も変わらず、現在では、社員の協力を得ながら、新卒採用と教育を行っています。

新卒採用の重要性

弊社では新卒の学生さんを継続的に採用していますが、「新卒を採用しても一人前になるまで少なくとも3年はかかる。そう考えると設計事務所の新卒採用は効率的ではない。」という考え方をされる設計事務所さんはたくさんいらっしゃいます。しかし、私は設計という仕事はそれくらい専門性が高い仕事だと思っていますし、新卒の学生さんのポテンシャルはそこだけではないと考えています。

私たちが新卒採用を行う理由は大きく二つです。

一点目、私たちは日本人として文化や伝統、技術を後世に伝えることが義務だと考えています。そして、現在の技術や考え方、将来に対しての想いをプラスした「いいもの」を創りたいと思っています。弊社が設立から現在まで、官公庁、民間の企業、そして個人の皆さまから多岐にわたる業務のご契約をいただいてきた中で、多くのことを学び、新しい仕事へ挑戦し続けてきた力は、弊社の礎となりました。

「いいもの」を創るためには、ベテラン社員の持つ技術・ノウハウを若い社員が学び、それを基に培われた新しい考え方が必要だと考えています。

二点目、会社には、会社のことを大切に思ってくれる社員が必要だと考えています。もちろん、会社も社員を大切だと思い、安定した生活ができるように努力しています。社員には会社のために自分ができることは何なのかを考えてほしいのです。実際に設計業務で努力することは当然ですが、会社全体で見ると仕事は設計業務だけではありません。営業的なこと、経営的なこと、総務的なこと・・・それぞれの立場で考えて協力し合うことが重要なのです。私たちは、新卒の社員にはそれができると考えています。なぜなら、最初に入社した会社というものは、本人が一番愛着を感じる会社だと思っているからです。

設計事務所の風土を打ち破って

「設計事務所には徒弟制度的なところがあるのではないか」と感じている方もいらっしゃると思います。例えば、「技術は先輩を見て覚えなさい」、「勉強させてあげるから、お給料は月10万円で頑張りなさい」、「30歳になったら独立しなさい」というのはよくある話です。こういった会社を否定するわけではありません。確かに先輩を見て覚えるような姿勢も大事だと思います。しかし、自分で考えても、調べても分からないことがある場合は、側にいる先輩社員に聞けばいいのではないでしょうか。聞けば早く理解が進みますし、先輩社員も志ある若い社員に自分の技術、ノウハウを教える姿勢を持つことが先輩たる責任だろうと考えています。

それに、一人暮らしの方が10万円で生活するということは無理と言っていいでしょう。会社としては、社員を技術者として一人前に育てること、また社会人として一人前に育てること、そして社員が自立した生活ができるようにすることが大事だと考えています。そのために私は全力で応援したいと思っています。

設計という仕事は専門性が高く、夢のある仕事です。今まで一生懸命勉強してきた皆さんには、安定した生活を送っていただき、仕事で力を発揮してほしいと考えています。若いうちは給料分の仕事も満足にできないかもしれませんが、貪欲に仕事を頑張ることが、結果お客さまのためにもなると思っています。

傳設計で働くということ

弊社は意匠、構造の部署がある組織設計事務所です。意匠と構造が一緒にいると、分からないところをすぐ聞きに行ける、つまり円滑に仕事が進められることがメリットだと考えています。例えば、意匠の社員が図面を持って、構造の社員のところに疑問点を聞きに行く。これが、意匠単体の事務所だと、構造をお願いしている事務所に電話やメールで聞かないといけないのですが、弊社では直接顔を合わせ、スピーディーに対応することができます。外注先の担当の方がいつもいらっしゃるとは限りませんし、電話やメールでは意思が伝わりにくいこともありますから、これは大きなメリットだと考えています。

また、弊社では官公庁案件、民間案件、そして新築、増築、改築、改修、耐震診断、構造設計と仕事の幅が広いことも特徴です。用途もまた然りです。弊社に在籍すれば、たくさんの仕事に接し、総合的に建築を学ぶことができる、そう考えています。

実際に社員が増えたからできるようになったこと

社員が30名ほどになってしばらく経ちました。弊社では、社長や中堅社員が若手社員に指導しながら学ばせるスタイルが定着してきました。若い社員は最初は何をどうすればいいのか、分からないことが分からないといった感じで、もがき苦しむようですが、それも試練。結果、若手に任せた案件が赤字になったとしても、その経験が次に生きればいいと思っています。若い社員の台頭もあり、実績が増え続けているのはうれしい限りです。また、今まで弊社は耐震診断の実績があるにも関わらず、お客さまに対して次につながる提案(意匠面など)ができていませんでした。しかし、社員が増えたことで、業務をやりくりし、研修に行く機会が増え、新しい考え方が会社に吹き込まれるようになりました。例えば地域密着や知識ノウハウ還元のためのセミナーを開催するようになりました。今後はこの取り組みが安定的な受注に繋がっていけばいいと考えています。「設計事務所として考えていることを多くの方々にお伝えしたい」と始めたニュースレターも新しい取り組みのひとつですね。

大事にしてきた3つのモットー

弊社は売上4億円ほどの企業になりました。社員数もずいぶんと増えました。手前みそですが、毎年、新入社員を迎える地場の設計事務所が、4億ほどの売上を立てるということは、弊社の社員は、本当によく頑張ってくれているのだと思います。

これは会社説明会の時にお話しすることなのですが、弊社は創立以来、「真面目であること」「誠実であること」「謙虚であること」をモットーにしてまいりました。人間ですので、失敗はありますが(もちろん、少ない方がいいですが)、その時にどう対応できるのか。きちんとお客さまに謝罪して、誠意を持って対応すること、このことが重要だと思います。設計は専門性が高く、夢のある仕事です。しかし、「設計」が商品ではなく、「人」もまた、商品なのではないかと思います。最後はどんな仕事でも「人」がものごとを左右すると思います。

いま何をすべきなのか

学生さんから「入社までにどんなことをしたらいいでしょうか」という質問をお受けすることがあります。私の答えは「あなたが思う、今やらないといけないことをやるべきじゃないでしょうか?」です。この件に関して、私の意見を強制するつもりはありませんのでいつも「?」でお返しするようにしています。アドバイスはできますが、基本的には自分のことは自分で考えて欲しいのです。私は、設計の仕事に就くのならば一級建築士の資格を遅くとも30歳までに取得するべきだと思いますが、正直なところ、それが26歳でも27歳でもさほど変わらないと考えています。だとすれば、今やらないといけないこと、それが建築物を見ることなのか、アルバイトなのか、友人と遊ぶことなのか私には分かりませんが、今しかできない経験がきっと皆さんの将来に役に立つと考えています。

最後に

設計の仕事は図面を描くだけではなく、当然現場にも足を運びますし、お客さまや業者さん、役所の方との折衝業務もあります。急に変更依頼が来て、それでも納期に間に合わせないといけないこともあり、休日出勤もざらにあります。そして、会社である以上、利益追求を求められます。しかし、あまり悲壮感を持った社員はいません。やはり、社員は設計が好きで、お客さまの喜ぶ顔が見たいからではないかと思います。

仕事をしながら資格取得もせねばならず、ハードですが、弊社に興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度、お話ししませんか?

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