定期報告

定期報告ってなに?

多数の人が利用する建築物等については、一旦事故が発生すると大事故になるおそれがあるため、 特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体、およびその長のこと)が一定の建築物、昇降機および換気・排煙設備等の建築設備について、 専門技術を有する資格者に調査・検査をさせ、その結果の報告を義務付けさせています。これを定期報告制度といいます。

定期報告は昭和54年の法改正により報告制度として始まりましたが、平成18年の公共住宅のエレベーターでの死亡事故や平成19年の遊園地のコースターでの死亡事故等で見直しがなされました。 さらに、平成25年には福岡市の整形外科で火災が発生し、10名の方が一酸化炭素中毒で亡くなられました。 特定行政庁である福岡市は、この整形外科を定期報告の対象とはしていませんでしたが、仮に定期報告がきちんとなされ、 防火扉が作動していたならば、どうだったでしょうか。

定期報告は平成28年6月から改正され、公会堂、集会場(結婚式場・葬斎場等)、高齢者、障がい者等の就寝の用に供するもの、 スポーツ施設など対象物件が増え、病院や有床診療所、ホテルなどがかつての対象物件もその規模が広がりました。

傳設計の定期報告 3つのポイント

01
耐震診断・構造設計
30年の実績

豊富な耐震診断、構造設計の経験から、建物の耐久性を確認します。目に見えない構造の不具合は地震時に人的被害を与える影響があります。

02
指摘だけではなく、
プロの目線で修繕までサポート

ひび割れや爆裂、タイルの浮きなど、定期報告で発覚した不具合は、落下や構造体への影響を考慮し、的確な修繕をサポートすることが可能です。

03
未来に向けた改修計画
長期修繕計画

それぞれの寿命が異なる構造体、防水、設備などの改修計画や予算を含め、ご提案することが可能です。

報告義務者

建物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)、分譲マンションの場合は一般的にマンション管理組合(代表者)が報告義務者となります。

もし定期報告を怠ってしまったら?

防げる事故を防げない可能性があることはもちろん、定期報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合には、 罰則の対象(100万円以下)となります。

建築基準法施行令及び福岡市の指定により定期報告の対象となる建築物の要件

  用途 規模(いずれかに該当するもの)
1 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 ①当該用途(100㎡超の部分)が地階又は3階以上の階にあるもの
②当該用途の床面積(客席部分)が200㎡以上のもの
③劇場・映画館・演芸場で、主階が1階でないもの
劇場、映画館、演芸場、観覧場 ④当該用途の床面積が300㎡を超えるもの
2 病院 ①当該用途が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が300㎡以上のもの
③階数が3以上で、当該用途の床面積が300㎡を超えるもの
診療所
(患者の収容のあるものに限る)
①当該用途が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が300㎡以上のもの
③階数が3以上で、当該用途の床面積が300㎡を超えるもの
ホテル、旅館 ①当該用途(100㎡超の部分)が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が300㎡以上のもの
③地階又は3階以上の階に当該用途があり、当該建築物のその用途の床面積が300㎡を超えるもの
高齢者、障がい者等の就寝の用に供するもの
(グループホーム、老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅等)
①当該用途(100㎡超の部分)が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が300㎡以上のもの
3 体育館(学校以外)、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 ①当該用途(100㎡超の部分)が3階以上の階にあるもの
②当該用途の床面積が2,000㎡以上のもの
4 百貨店、マーケット、物品販売を営む店舗、展示場(展示場は④を除く) ①当該用途(100㎡超の部分)が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が500㎡以上のもの
③当該用途の床面積が3,000㎡以上のもの
④地階又は3階以上の階に当該用途があり、当該建築物のその用途の床面積が1,000㎡を超えるもの
キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店 ①当該用途(100㎡超の部分)が地階又は3階以上の階にあるもの
②2階にある当該用途の床面積が500㎡以上のもの
③当該用途の床面積が3,000㎡以上のもの
5 地下街 居室の床面積が1,500㎡を超えるもの
6 共同住宅 5階以上の階のいずれかの階における当該用途が100㎡を超えるもの

※1の屋外観覧場は除く ※3、4の当該用途の部分が避難階のみにあるものは対象外

建築設備(排煙設備、換気設備、非常用照明)、防火設備(随時閉鎖式の防火戸)の報告対象となる建築物

上記1~5に揚げる報告対象となる建築物
病院、有床診療所、高齢者、障がい者等の就寝の用に供するもの(グループホーム、老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅等)で、当該用途の床面積の合計が200㎡以上のもの ※防火設備のみ

報告の周期

建築物  ・・・3年に1度
建築設備等・・・1年に1度
建築設備(排煙設備、換気設備、非常用照明)
防火設備(随時閉鎖式の防火戸)
昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機)
遊技施設

調査・検査の資格者

建築物 一級建築士、二級建築士、建築物調査員
建築設備 一級建築士、二級建築士、建築設備検査員
防火設備 一級建築士、二級建築士、防火設備検査員
昇降機等 一級建築士、二級建築士、昇降機検査員

定期報告の流れ

01
案内のハガキが届く

報告年度には所有者(管理者)へ定期報告の案内があります。

02
調査依頼

調査、検査資格者に調査依頼をしましょう。(※図面をご用意ください。図面がない場合には別途ご相談ください。)

03
調査

専門資格を有する資格者が調査します。

04
結果報告

特定行政庁に報告書を提出します。

05
必要に応じて違反是正指導等

審査の結果が送られてきます。内容を確認し、改善の必要がある場合は即座に対策を講じましょう。