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沖縄の伝統的民家から学ぶ

2019.10.11

こんにちは。設計部の倉原です。

7月末から沖縄で監理業務を行っています。
そろそろ10月半ばに差し掛かりますが、秋の気配はいまだ感じられません。
まだまだ夏が続きそうです。

さて、今回は先日訪れた「琉球村」の沖縄の民家ついて、ご紹介しようと思います。

【▲旧島袋家住宅主屋】
旧島袋家は、琉球王府の貢納穀類の秤役を務めた旧家であり、元々は沖縄県北部、羽地村源河(現在の名護市羽地)に建築されました。
建物としては、寄棟造、赤瓦葺の木造平屋建てで、沖縄の伝統的民家の形式をとっています。
また、屋根にはシーサーが据え付けられています。 これには魔除けの意味があります。

【▲旧島袋家住宅高倉】
旧島袋家住宅高倉は、穀物類や種類を保存するための高床倉です。
4本の丸柱を立て、高さ2m程度の所に床を張り、茅葺の屋根を架けたものです。
奄美地方の高倉に近い形式だそうです。
主屋も高倉のどちらも国の登録有形文化財となっています。

【▲沖縄の伝統的民家の特徴:ヒンプン】
沖縄の伝統的な家屋の門にはヒンプンと呼ばれる壁が設けられています。
外部からの目隠しの意味もありますが、悪霊を防ぐという信仰上の役割もあるらしいです。
というのも、悪霊や邪悪なものはに直進して飛び込んで来るという言い伝えがあり、その為に門と母屋の間の壁を設けているそうです。(ガイドさん曰く)
また、家に入る時に性別によってヒンプンのどちら側から入るかが決まっており、
男性や客人は右側を通って「客間」へ入り、女性は左側を通って「台所」へ入ります。
このように、スムーズに目的の場所へ誘導するための役割もあります。

■総括
以上のように、沖縄の伝統的民家には、いくつかの地域的な特色が表れています。
その中でも特に”ヒンプン”に興味を持ちました。
高倉と比較して説明すると、高倉の高床には湿気を防ぎ通風を良くするという”機能的”な意味があります。
対してヒンプンには、目隠しの意味もありますが”魔除け”の意味があります。
この両者には、計画的・機能的な考え方と生活環境・思想に基づく考え方の違いがあり、後者の考え方について、興味深く感じました。
私は今まで、計画的・機能的な考え方で設計をしてきたので、”魔除け”による空間や動線の構成はとても勉強になりました。
そういった考え方は、伝統的な建築物に多い傾向があると思われるので、今後も探訪し学んでいきたいと思います。

この辺で今回のお話は終わりにします。
沖縄もそろそろ暑いシーズンが過ぎ、涼しい季節になります。
ぜひ皆さんも沖縄に来てみてはいかがでしょうか。

【▲沖縄の水平線】海際は涼し気な風が気持ちいいです。