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結局同じなのか?違うのか?スラブの設計!

2022.09.12

こんにちは。構造設計部の堀内です。

皆さんが当たり前のように立っている床…何が思い浮かびますか?

フローリングや絨毯、塩ビシートやタイルなど様々出てくると思います。
一般的にこれらは「仕上げ」と呼ばれ、これらの仕上げの下に「スラブ」と呼ばれる「床」があります。
今回は鉄筋コンクリート造のスラブ(床)についてお話致します。

構造計算では、意匠図またはプランを頂いてからまず初めにスラブの種類分け及び
計算を行います。種類分けというのはそのスラブががある部屋がどのような用途で
使われているかを確認して表に分けることです。
例えば下図のように4種類のスラブがいるとします。※スラブを擬人化して描いています。

分かりやすくするためにそれぞれに色をつけていますが、実際には全て同じ色
(グレーのような色)です。これらのスラブの違いは、スラブがいる室が違うことや
厚さが違うことです。もちろんその室に適した仕上げがあるため仕上げも違います。

なぜ部屋によってスラブを分けると思いますか?
それぞれの部屋の中にある家具などを思い浮かべると…
住宅:ダイニングテーブルやソファ、ベッドなど→人が運べそうな重さ
事務室:デスクやコピー機、書棚など→何人かで協力すれば運べそうな重さ
機械室:機械など→重機を使って運ぶような重さ
休憩室:テーブルや椅子など→人が運べそうな重さ

そうです!部屋の用途によって中に入れる家具=重さが違い、使われ方も違うことが
スラブの種類分けになるのです。

建築基準法ではこの「部屋」に対して積載荷重(せきさいかじゅう)というものが定められています。
簡単に説明すると、スラブや仕上げの重さにプラスして最低これだけの重さを考慮してくださいね、
という決まりです。
例えば住宅のスラブ自身の重さが4000N/m2の場合、スラブを計算するときの
住宅(住戸)用の積載荷重は1800N/m2であるため、このスラブを計算する場合の重さは
4000+1800=5800N/m2となります。
☆現在の構造計算では、N(ニュートン)という単位をよく使います。

話に戻りますが、積載荷重で分類すると下図のようになります。
イメージ通りでしょうか?
スラブを計算する際はスラブの平面的な大きさも影響するのですが、違う部屋のスラブでも
計算の結果、厚さや配筋が同じであれば図面に記載するスラブ符号(スラブの名前)が同じとなります。
一例ですが下図のように最終的には同じスラブになることもあります。
結果同じスラブになったなら住戸用で設計したけど事務所として使ってもよいの?
となるかもしれません。
これはNGです!
先ほど少し書きましたが、計算上のスラブの大きさ等によって結果的に同じ厚さの
同じ配筋のスラブになっただけで、構造計算ではスラブだけでなく建物全体架構としても
積載荷重を考慮しているため設計した部屋と使用する部屋の用途を変える場合は建物全体架構で
再計算が必要です。

長くなりましたが、別の用途の部屋でも結果的に同じスラブ符号になることがあるのです!

先週は台風一過となり中秋の名月も見られ、一気に秋が来た気がしますね。
朝晩の気温が低くなってきましたので引き続き皆さまご自愛ください。

構造設計部 堀内