雨と樋 2021.06.18 DEN BLOG こんにちは。設計部の倉原です。 福岡は統計史上2番目に早い梅雨入りをしたものの なかなか梅雨らしい雨も降らない日々が続いていますが、 皆様いかがお過ごしでしょうか。 さて、今回は梅雨時期ということで、樋の話をします。 樋とは、屋根に降った雨水を集め、地上に流す設備のことです。 もし樋が無ければ、軒先から雨だれが生じて、外壁や基礎に当たることにより建物に劣化をもたらします。 また、劣化の進行に伴い、壁のひび割れから雨が浸透し、鉄筋の劣化につながる恐れがあります。 以上の様に、建物を劣化から守るために、樋は建物に必要不可欠な設備ですが、建物の外観に 大きく関わるため、意匠上の工夫をすることがあります。 以下、意匠上の工夫が見られる4つの事例について紹介します。 【▲樋➀】 外観に樋が現れないようにするため、 樋を隠す空洞をつくり、内部に樋を設置しています。 建物のデザインとして凹凸を組み込み、全体に馴染ませています。 【▲樋➁】 外観に最小限にしか樋が現れないような処理の仕方をしています。 樋の存在を感じさせないような工夫を凝らしています。 【▲樋③】 ある建物のエントランスまでのアプローチです。 鎖樋と呼ばれ、鎖によって雨水を地面に導いています。 雨水の流れをデザインに組み込んだ意匠性の高い樋になります。 【▲樋④】 坂倉準三さん設計の市村記念体育館です。1963年に建設された建物になります。 東西両端に梁が突き出ており、雨水を落とす樋も兼ねています。 そして、下部には大きな円形の桝で雨水を受け止めています。 今まで紹介してものと異なり、樋の存在感を消すのではなく、 そのもの自体をデザインとして大胆かつ力強く表現しています。 機能性と意匠性を両立させた優れた建築物です。 以上の様に、樋という必要不可欠な設備とデザインを両立するための様々な工夫あります。 皆様もぜひ、樋に注目して建物を観察してみて下さい。 今まで樋について色々とお話ししましたが、樋は日々のメンテナンスがとても重要になります。 定期点検をせずに葉っぱが詰まるケースなど、数多くあります。 梅雨の晴れ間にでも一度点検してみてはいかがでしょうか。 倉原 「建物に新しい価値を付加するリノベーションセミナー」開催します 建築知識2021年6月号 一覧に戻る