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高所作業時の気を使う点

2025.04.18

こんにちは、設計部3年目の姜です。
花粉症の季節が終わっていくことを感じる時期であり、
今年のアレルギー薬代はこれで収まりそうなのでほっとしています。

最近、某施設の高所作業時の安全性能を確保するための基本的な検討を行いました。その内容についてご紹介します。

高所作業ということでかなり高い場所での作業が想像されやすいですが、労働安全衛生法によりますと高さ2m以上の作業であれば、高所作業と規定されています。

 

① 昇り降りのときの安全対策と必要な装備
高所作業では、屋根に上がるときや降りるときに事故が起こりやすく、とくに注意が必要です。よく使われるのは「はしご」ですが、正しく使わないと転倒や転落の危険があります。

はしごを使うときは以下の点に注意します。

・はしごの角度はやや斜め(約75度)が安全です。

・地面は平らでしっかりした場所を選びます。ぬかるんだ地面は避けます。

・はしごの上端は、屋根の先端(軒先)から60cm以上突き出すように設置します。

・はしごの上下は、ロープや専用の器具でしっかりと固定します。

・必ず「3点支持」(両手と片足、または両足と片手)で昇り降りします。

 

【使用する装備】
ハーネス型安全帯:体全体を支えるベルトです。腰だけでなく肩や脚にも装着するため、墜落時の衝撃を分散できます。

安全ブロック:自動でストラップを巻き取り、万が一の落下時には瞬時に止まる装置です。はしごの上部などに設置します。

保護帽(ヘルメット):頭を守るため必須。落下時の衝撃を吸収できる構造のものを選びます。

滑りにくい靴(安全靴):特に屋根や斜面では滑りやすいため、グリップ力のある靴が重要です。

工具袋・腰袋:手に持っての昇降は禁止されており、工具類は体に装着する袋に入れて持ち運びます。

これらの装備は、すべて整っていて初めて安全に昇り降りができます。装備の不備や設置ミスが大きな事故につながるため、準備段階での確認が何より大切です。

 

 

② 高い場所での作業の安全対策と必要な装備
屋根の上など、作業用の足場が作れない場所での作業では、「墜落しないようにすること」が最も重要です。安全帯や命綱などの保護具を正しく使い、事故を未然に防ぐ対策が求められます。

必要なのが「親綱」と呼ばれる命綱の基準となるロープです。これは作業前に屋根の中央などに設置し、作業中ずっと自分の命を預ける重要なロープです。

安全対策の基本
親綱をしっかり張ること。このロープに安全帯を連結して作業します。

作業範囲を事前に確認し、どこまでが安全に移動できるかを明確にします。

屋根の端や、けらば(屋根の端部)に近づきすぎないよう、移動制限を設けます。

強風や雨天など滑りやすい状態では、作業を中止する判断も必要です。

 

【使用する装備】
ハーネス型安全帯:(墜落制止用器具)ロープ(ランヤード)を2本持ち、移動中も常に1本は命綱に接続されている状態を保てます。

安全ブロック:屋根の中心部などに取り付け、安全帯と連結します。落下時には自動でストラップがロックされ、落下を止めます。

親綱:日本工業規格(JIS)に適合する強度のあるロープを使用します。

固定金具・フック:ロープを建物や重りにしっかり取り付けるための金具。屋根の構造や材質によって使い分けます。

保護帽、安全靴、滑り止め手袋など、基本的な個人保護具(PPE)も欠かせません。

これらの装備を正しく使うには、事前の訓練や説明も重要です。特に、主綱の設置方法やフックの取り付け方などは、現場によって最適な方法が異なるため、作業前にきちんとした計画と確認を行う必要があります。

 

個人的に以前、ハーネス型安全帯を着用した上、作業を行ったことがあります。その時は、着用自体も不便でしたが、移動の度にランヤードをかけ直すのに不便を感じました。しかし、今回の検討を通して、自分の命を守るためには、多くの部分で気を使う必要があることが分かりました。設計者も監理時、作業床等がない場合、ハーネス型安全帯(墜落制止用器具)を着用する場面があるので今後のため、周りの高所作業時の安全対策はどう行われているのか等確認していきたいです。

 

【関連規定】
・労働安全衛生法
・労働安全衛生施行令
・労働安全衛生規則
・-足場の設置が困難な屋根上作業-墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアル