劣化を楽しむ 2017.06.12 DEN BLOG 紫陽花が大輪の花を咲かせる頃となりましたが、いかがお過ごしですか。 私は現在、集合住宅の改修設計を行っております。今回お話しするのは現 状回復や機能向上を図る改修とは趣旨が異なり、昨今メディア等で取り沙 汰されている「リノベーション」についてお話ししたいと思います。 リノベーションとは時間の経過と共に物理的及び社会的に劣化した既存空 間に異なった価値を与えるためにリ・イマジネーションすることです。 これまでの日本では新築至上主義が根付いており、木造住宅だと約30年経 過すると建替えるという「スクラップ&ビルド」が主流でした。 リノベーションの目的としては建物を尊重し、来る寿命まで利用すること が根底にあります。これは環境保護の観点からも好ましいと言えます。そ の一つの手段としてリノベーションがあります。修繕や改修に加え、リノ ベーションの選択肢が増えたことでいろんなケースに対応できると思いま す。これは、日本人が生み出した侘び寂びの心に通ずるものがあるのでは ないでしょうか。 建物の劣化を受入れ、これまでとは異なった視点から「建築」を楽しむ のもいいかもしれません。 設計1部 石戸谷 心を整える。 コンベックス選び 一覧に戻る